借入金の精算
相続した際に全く知らなかった借金が発覚するという場合があります。 相続人は、一般的に(亡くなった方の)正の財産も引き継ぎますが、負の財産も引き継ぎます。 借金は、相続人がその支払い義務を引き継ぐことになり、権者(お金などを貸している)から相続人に対して返済を求められることになります。 正の財産、負の財産の状況によって様々な事が考えられますが、どのような手順で確認をしていけばよいのかの解説、対処法についてご説明しています。
1. 負の生産の確認
おおまかには…
財産の調べ方ですが、これで必ずすべての財産がわかるという方法は残念ながらありません。 しかしながら相続手続きのおいては、債務調査は早いうちに行わなければいけない以上、
悩む時間や、待っている時間はありません。 なぜならば相続は財産の相続放棄をしない限り、全て承継するからです。 その為、債務調査の結果は、相続放棄をするか否かの重大な判断材料となります。
ちなみに相続放棄については、原則3ヶ月間の期間内で行わないといけないため、できるだけ早期に相続債務を調査する必要があります。 そこで今回は被相続人が残した債務の調査についてその詳細を説明していきたいと思います。
承継する相続財産の中でも真っ先に調査しなければいけないものが再三の説明になりますが、
負の財産=借金になります。
一般的には、金融機関に借金がありそうな場合、
◆KSC(全国銀行個人信用情報センター) ここでは銀行系のローン(住宅ローン等)やキャッシングを調査できます。
◆CIC(株式会社シー・アイ・シー) ここではクレジット系の契約内容を調査できます。
◆JICC(株式会社日本信用情報機構) ここでは消費者金融系の契約内容を調査できます。
それぞれの機関では所定手続を行うと、借入先の一覧を開示してもらえます。 具体的な借入先はそこである程度はわかると思いますが、過払金があるかどうかの前提となる取引状況などは、そこで判明した各金融機関に問い合わせをしないと分かりません。
また、銀行ローンやキャッシングの場合については、預貯金口座から引き落とされますので故人名義の通帳から調べることができる場合があります。
さらに、通帳からある一定の周期で引き落とされている支払いがある場合には債務(借金等)の
可能性がありますので確認をするようにしましょう。 消費者金融やカード会社からの借入の場合は督促状がはがき等によって届きますので、
それをもとに調査をしていくこともできます。
但し、一個人からの借金についてまでは、さすがに簡単に調べる方法はありませんので、借用書等を遺品の中から見つけるしか方法はありません。 先方から請求があった場合では、その借金の具体的な契約内容から、いままでの返済履歴などを
書面で確認するようにしましょう。
税金関係は、各自治体に問い合わせるしかありません。 最後に居住していた行政に確認するのが確実かと思います。
注意する事では、相続するかどうかを決めていない以上、
「相続人です」「相続します」「支払います」など、相続するかのような表現はしないようにしてください。
一部の債権でも引き継ぐような行為は、法律上、相続放棄を妨げてしまいます。 あくまで、「相続人」とは確定していない事をわかっておいてください。
2.正の財産の確認
一般的には、正の財産とは下記が該当いたします。
● 不動産(土地や建物) ● 預貯金 ● 保険証券 ● 有価証券(株式や債券など) ● 出資持ち分(非上場株式) ● その他動産(貸付金、自動車、美術品、宝飾品など)
分かりやすいものの代表例はやはり不動産と預貯金になるかと思います。 保管しているケースが多いので、見つけた場合には、内容を吟味し目録などを作成する方が良いかと思います。 負の財産、正の財産が分かった段階で、相続するのか、放棄するのかを選択する事ができます。
ちなみに相続債務の調査をすることは、相続放棄の判断をするだけではなく遺産分割協議を行うための判断材料となります。 しかし、相続債務の調査には相当の時間がかかります。なるべく早く調査の着手をするようにしましょう。
相続に於ける注意点借金は相続した場合、相続分の割合に応じ返済しなければいけないということ
借金は遺産分割で決めても遺産分割の対象になりませんので、法定相続分とは異なる割合で
相続すると決めても、債権者にそれを主張することはできません。 よって債権者はそれぞれに法定相続分の返済を求めることもできるということになります。
相続放棄を検討している際は返済をしないようにしなければいけないということ
相続放棄を検討している時や手続き途中で消費者金融などから返済の請求があった場合には
どのように対応すればいいでしょうか? その督促に対して返済をしてはいけません。 なぜなら、1円でも支払いをしてしまうと法定単純承認といって、相続放棄ができなくなってしまう可能性があるからです。 放置するのが困難の場合には相続放棄を検討中であることをきちんと伝えましょう。 大事な事は勝手な判断はしないで専門家のアドバイスを聞くということを忘れないようにしましょう。
借入金の清算や、相続放棄などは限定承認というやり方もありますが、
理解できない、わからないなどの場合は、専門知識を持っている司法書士や、弁護士、税理士などに確認をする事が理想的になります。
正の財産も負の財産も相続すると決まった場合では、相続する事で相続税という税金が掛かってきます。
負の財産を返済するのみならず、税金分も現預金や不動産などの資産売却により資金を捻出する
必要があります。 また不動産を売却するとなれば、別途譲渡所得税というものもあります。
税金には納税時期が、負の財産の返済では、返済期限がそれぞれありますが、具体的に必要な額を算出し、資金をどのように捻出するかは慎重な検討が必要といえるでしょう。
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